2014男子世界選手権・第8戦(イスラエル戦)
2014/07/20
ラクロス男子日本代表・14日目
残り一試合。泣いても笑っても最後の一試合。
BlueDivisionを戦い抜いた日本。下位Divisionで圧勝を続けたイスラエル。
運営上の理由により、試合前日の急なスケージュール変更に伴う、コンディションの再調整も強いられた。
出し切るという言葉よりも、最後の最後だから覚悟を決めていつも通りのプレーをする。
いつも通りが今出来る最高のプレー。”いつも通り”ををこの試合で出す事。
それが勝利に繋がると自分と仲間を信じて、試合に臨んだ。
7月18日(金)のスケジュール
・朝食
・ミーティング
・昼食
・移動
・vs イスラエル
・懇親会
日時:2014年7月18日(金) 14:30試合開始
日本代表(白) vs イスラエル代表(青)
スコア
得点者
第1Q
試合開始から流れを掴もうとイスラエルはゴールに向けて切り込んでくる。日本は次世代を担う#30・安藤がゴーリーにつき、ゴールを死守する。
パスミスから日本ボールになると、#12・岡部が組み立てた。そして#17・小澤から仕掛ける。アタックのボール供給から360度どこからでも牙を剥く。
[左:フィードを狙う#7・池川/右:得点を決める#13・岩野]
先制点は#9・継。ゴール裏からのフィードにを確実に決めた。
その後、日本はマンダウンディフェンスを守りきるも、フィードのこぼれ球を押し込まれて追いつかれてしまう。
突き放したのは#20・アンドリュー。グラウンドボールから崩れた状況で落ち着いてミドルシュートを突き刺して得点。
続いてイスラエルのボールを#19・水田のチェイスで日本ボールにすると、#23・山口から#10・本下へ、本下が引きつけて#3・関根。きれいなフルフィールドオフェンスが決まった。#13・岩野も続き3連続得点。リードを3点とした。
1点巻き返され、日本のファールにより1Q終わりに流れを持っていかれるが守りきる。
流れは五分五分だが、決めきる、守りきる事で2点のリードを維持した。
[左:シュートを放つ#7・池川/右:#3・関根]
第2Q
日本のファールや、イスラエルのファールでリズムを掴みきれない両者。
ちょっとしたミスからイスラエルが2点の差をあっという間に縮めてくる。スイッチが入った外国人チーム特有の怖さだ。
2失点後、#33・陳野のフェイスオフで日本がボールを持つと、本下が仕掛けて、#7・池川が受ける。池川のアシストをDFの隙を突き関根が決めた。ディフェンスを全くさせない攻撃で鮮やかに決まる。
[左:5点目を決めた#3・関根/右:#10:本下]
2Q残り10分。どちらも譲らない。あっという間に前半が終わってしまう。
5-4。これを優位と捉えた選手がどれだけいただろうか。互角、もしくは1点ではまだまだ勝利に足りないという気持ちが伝わってきた。
[左:#9・継/右:果敢に攻める#17・小澤]
第3Q
守る気持ちではなく、攻める気持ちを出して始まったクウォーター。
日本のシュートボールのリバウンドを取ったのはイスラエル。そのままポゼッションを握られ失点。追いつかれてしまう。
しかし日本は勝利のためにスタンスを崩さなかった。#26・谷嶋やロング陣があがり攻撃機会を作る。ピンチになれば安藤のスーパーセーブがチームを救った。
[左:#5・畑田/右:#11・忠平]
流れが大きく変わったのは、残り10分。デンバーの高温多湿の気候からウォーターブレイクタイムアウトが取られた直後だった。
日本の攻撃。一瞬の隙を相手は見逃さなかった。本当にただ普通のパス。今まで何千回、何万回もしてきたパス。しかし、日本の疲労はピーク。その本当に一瞬の抜かりをイスラエルは見逃さなかった。インターセプトからスローブレイク、ゴールに叩き込まれて初めてのリードを許す。
3連続失点。日本もボールを持ち攻むも、落ち着こうとすればするほどパスは繋がらなかった。
4連続、5連続失点。大久保ヘッドコーチがタイムアウトを取るも流れを変える事は出来なかった。
3Qが終わり気がつけば5-9と4点を追う日本。
しかし、やる事はもともと決まっていた。いつも通り。日本代表が活動する時から決めていた、「相手に守らせずに得点をする」、「相手をコントロールしてボールを奪う」、至ってシンプルなボールスポーツに全力を掛けるだけだった。
第4Q
結果。このクウォーターは5-6だった。
しかし、とても日本らしい20分間だった。
イスラエルが気を抜いていたという事も無く、そして日本代表は自分たちの全力を出していた。
[左:シュートを放つ#20・アンドリュー/右:#27・畠山]
[左:#14・松下/右:#9・継]
誰かの為ではなく、自分自身の為に。たった数秒の局面を全力で戦っていた。
その局面が得点、失点に現れる。得点を取れれば勝つ、取られれば負ける。ラクロスというスポーツの真理を見た気がした。
戦術、戦略、上手い下手なんて言葉より、ラクロスというスポーツが凝縮した20分間だった。
最後までボールを奪い得点にこだわった日本代表。
しかし試合に結果は出る。10-15。イスラエルの勝利。日本は負けての8位となる。
オリンピックでは8位までが入賞であり、誉れとされるが、ラクロスの世界大会の場合、6位までがBlue Division。次回大会はおそらくRed以下のDivisionになるだろう。
しかし、8連戦。3回の延長戦に、4時間を超える激闘。本当に良く戦い抜いたと感嘆の意を表しを送るしか無い。
順位は順位だ。8位には変わりない。それでも、本当に胸を張って帰ってきて欲しい。
そして応援者からの「お疲れさま」「ありがとう」を受け取って欲しい。
そして言い換えよう。
次に、このバトンを受け継ぐのは誰か。
2018年マンチェスター大会に向けた戦いは既に始まっている。
イスラエルに負けて8位が決まった日本。終わりの笛は始まりの笛以外の何でも無い。
これからはじまる灼熱の国内リーグ戦が日本のラクロスを握っている。
これで全ての試合を終えた日本代表。様々な想いを抱えつつも、今大会を影で大きく支えてくれた選手のご家族の皆さんに御礼を込めて、懇親会を催しました。
過去の大会を振り返っても、一番多くのご家族の方々が応援にデンバーまで駆けつけて下さいました。
日本食の差し入れもたくさん頂きました。
スタンドでの大きな声援は本当に大きな力となりました。
懇親会では、選手が家族の紹介をすると共に、皆さんから温かい言葉を頂きました。
「ここまで連れて来てくれてありがとう」
選手と共に戦い続けたご家族の方々の想いは、8連戦を戦い抜いたチーム一人一人誰もの心に強く響くものとなりました。
Text by:日本ラクロス協会事務局次長補佐(関東地区)・浅井威宏、他
Photo by:日本ラクロス協会オフィシャルフォトグラファー・海藤秀満、同広報部・臼井杏美、他
残り一試合。泣いても笑っても最後の一試合。
BlueDivisionを戦い抜いた日本。下位Divisionで圧勝を続けたイスラエル。
運営上の理由により、試合前日の急なスケージュール変更に伴う、コンディションの再調整も強いられた。
出し切るという言葉よりも、最後の最後だから覚悟を決めていつも通りのプレーをする。
いつも通りが今出来る最高のプレー。”いつも通り”ををこの試合で出す事。
それが勝利に繋がると自分と仲間を信じて、試合に臨んだ。
7月18日(金)のスケジュール
・朝食
・ミーティング
・昼食
・移動
・vs イスラエル
・懇親会
日時:2014年7月18日(金) 14:30試合開始
日本代表(白) vs イスラエル代表(青)
スコア
チーム
|
1Q
|
2Q
|
3Q
|
4Q
|
TOTAL
|
日本代表
|
4
|
1
|
0
|
5
|
10
|
イスラエル代表
|
2
|
2
|
5
|
6
|
15
|
日本代表 |
#3 関根 幹祐 (3) |
#9 継 渉 (3) |
#10 本下 純 (1) |
#13 岩野 岳 (1) |
#18 佐保田 裕介 (1) |
#20 アンドリュー レイ (1) |
第1Q
試合開始から流れを掴もうとイスラエルはゴールに向けて切り込んでくる。日本は次世代を担う#30・安藤がゴーリーにつき、ゴールを死守する。
パスミスから日本ボールになると、#12・岡部が組み立てた。そして#17・小澤から仕掛ける。アタックのボール供給から360度どこからでも牙を剥く。
[左:フィードを狙う#7・池川/右:得点を決める#13・岩野]
先制点は#9・継。ゴール裏からのフィードにを確実に決めた。
その後、日本はマンダウンディフェンスを守りきるも、フィードのこぼれ球を押し込まれて追いつかれてしまう。
突き放したのは#20・アンドリュー。グラウンドボールから崩れた状況で落ち着いてミドルシュートを突き刺して得点。
続いてイスラエルのボールを#19・水田のチェイスで日本ボールにすると、#23・山口から#10・本下へ、本下が引きつけて#3・関根。きれいなフルフィールドオフェンスが決まった。#13・岩野も続き3連続得点。リードを3点とした。
1点巻き返され、日本のファールにより1Q終わりに流れを持っていかれるが守りきる。
流れは五分五分だが、決めきる、守りきる事で2点のリードを維持した。
[左:シュートを放つ#7・池川/右:#3・関根]
第2Q
日本のファールや、イスラエルのファールでリズムを掴みきれない両者。
ちょっとしたミスからイスラエルが2点の差をあっという間に縮めてくる。スイッチが入った外国人チーム特有の怖さだ。
2失点後、#33・陳野のフェイスオフで日本がボールを持つと、本下が仕掛けて、#7・池川が受ける。池川のアシストをDFの隙を突き関根が決めた。ディフェンスを全くさせない攻撃で鮮やかに決まる。
[左:5点目を決めた#3・関根/右:#10:本下]
2Q残り10分。どちらも譲らない。あっという間に前半が終わってしまう。
5-4。これを優位と捉えた選手がどれだけいただろうか。互角、もしくは1点ではまだまだ勝利に足りないという気持ちが伝わってきた。
[左:#9・継/右:果敢に攻める#17・小澤]
第3Q
守る気持ちではなく、攻める気持ちを出して始まったクウォーター。
日本のシュートボールのリバウンドを取ったのはイスラエル。そのままポゼッションを握られ失点。追いつかれてしまう。
しかし日本は勝利のためにスタンスを崩さなかった。#26・谷嶋やロング陣があがり攻撃機会を作る。ピンチになれば安藤のスーパーセーブがチームを救った。
[左:#5・畑田/右:#11・忠平]
流れが大きく変わったのは、残り10分。デンバーの高温多湿の気候からウォーターブレイクタイムアウトが取られた直後だった。
日本の攻撃。一瞬の隙を相手は見逃さなかった。本当にただ普通のパス。今まで何千回、何万回もしてきたパス。しかし、日本の疲労はピーク。その本当に一瞬の抜かりをイスラエルは見逃さなかった。インターセプトからスローブレイク、ゴールに叩き込まれて初めてのリードを許す。
3連続失点。日本もボールを持ち攻むも、落ち着こうとすればするほどパスは繋がらなかった。
4連続、5連続失点。大久保ヘッドコーチがタイムアウトを取るも流れを変える事は出来なかった。
3Qが終わり気がつけば5-9と4点を追う日本。
しかし、やる事はもともと決まっていた。いつも通り。日本代表が活動する時から決めていた、「相手に守らせずに得点をする」、「相手をコントロールしてボールを奪う」、至ってシンプルなボールスポーツに全力を掛けるだけだった。
第4Q
結果。このクウォーターは5-6だった。
しかし、とても日本らしい20分間だった。
イスラエルが気を抜いていたという事も無く、そして日本代表は自分たちの全力を出していた。
[左:シュートを放つ#20・アンドリュー/右:#27・畠山]
[左:#14・松下/右:#9・継]
誰かの為ではなく、自分自身の為に。たった数秒の局面を全力で戦っていた。
その局面が得点、失点に現れる。得点を取れれば勝つ、取られれば負ける。ラクロスというスポーツの真理を見た気がした。
戦術、戦略、上手い下手なんて言葉より、ラクロスというスポーツが凝縮した20分間だった。
最後までボールを奪い得点にこだわった日本代表。
しかし試合に結果は出る。10-15。イスラエルの勝利。日本は負けての8位となる。
オリンピックでは8位までが入賞であり、誉れとされるが、ラクロスの世界大会の場合、6位までがBlue Division。次回大会はおそらくRed以下のDivisionになるだろう。
しかし、8連戦。3回の延長戦に、4時間を超える激闘。本当に良く戦い抜いたと感嘆の意を表しを送るしか無い。
順位は順位だ。8位には変わりない。それでも、本当に胸を張って帰ってきて欲しい。
そして応援者からの「お疲れさま」「ありがとう」を受け取って欲しい。
そして言い換えよう。
次に、このバトンを受け継ぐのは誰か。
2018年マンチェスター大会に向けた戦いは既に始まっている。
イスラエルに負けて8位が決まった日本。終わりの笛は始まりの笛以外の何でも無い。
これからはじまる灼熱の国内リーグ戦が日本のラクロスを握っている。
■第12回男子ラクロス世界選手権大会 日本代表 2勝6敗/総合順位 8位 ・Blue Division:1勝4敗(BlueDivison5位) ・Play In Games:1勝1敗 ・順位決定戦:1敗 |
これで全ての試合を終えた日本代表。様々な想いを抱えつつも、今大会を影で大きく支えてくれた選手のご家族の皆さんに御礼を込めて、懇親会を催しました。
過去の大会を振り返っても、一番多くのご家族の方々が応援にデンバーまで駆けつけて下さいました。
日本食の差し入れもたくさん頂きました。
スタンドでの大きな声援は本当に大きな力となりました。
懇親会では、選手が家族の紹介をすると共に、皆さんから温かい言葉を頂きました。
「ここまで連れて来てくれてありがとう」
選手と共に戦い続けたご家族の方々の想いは、8連戦を戦い抜いたチーム一人一人誰もの心に強く響くものとなりました。
Text by:日本ラクロス協会事務局次長補佐(関東地区)・浅井威宏、他
Photo by:日本ラクロス協会オフィシャルフォトグラファー・海藤秀満、同広報部・臼井杏美、他
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